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「楽しい会話の途中で申し訳ねえが」
と上代が可也イライラした様子で、亜弓と桜の会話を遮った。
亜弓は、桜との話を中断され不機嫌に上代を睨んだが、上代は既に大谷に向かって話していた。
「おい!俺達は暇じゃないといっただろう?その女がお前の言っていた強い奴なんだろ」
そういって上代は桜を指差したが、大谷は首を激しく横に振る。
全力で否定しなければいけなかったのは、勿論桜がサードをしたことがなかったからである。
「ふざけるな!もう良い!もう沢山だ。屑め。約束どうりPS64は貰う。もう茶番は終わりだ」
大谷は、冷や汗混じりに首を横に振り、香湖の方を指差し、云う。
「こ、この子が闘う、この子に勝てたら本当にやる!」
香kにはなんの断りもなく口から出るままに云ったが、香湖は何も云わず黙っている。
亜弓は気の毒そうな大谷を見て、香湖に小声で「助けてあげようよ」と言った。
香湖は余り気が進まなかったが、ここまできてやらないのでは最早只の臆病とも感じ、無言で頷いた。
大谷は目に涙を浮かべ香湖の手を握りしきりに、ありがとうを連呼した。
「しかし勝てるとは限らない。申し訳ないが勝てなかったら…」
「勝てる。君ならきっと勝てるよ!」
香湖の言葉を日高が遮った。日高は先の香湖の闘いに陶酔していた。
大谷も日高に次いで言う。
「本当に申し訳ない、負けたときの事は考えなくて良いです。その時は俺も覚悟を決める」
観念したような清々した声だった。
苦々しげにその光景を見ていた上代は、冷笑を浮かべ大谷に言う。
「あんまり俺を舐めるな。その女はここの常連じゃないだろう?そんな奴を引っ張り出して
俺と戦わせようなんざ虫が良すぎないか?お前が言った案山子とかいう奴がよこした奴は
その桜とか云う女だろう?だったらPS64はその女と掛けて戦うのが筋という奴だ」
そして隣の中条にそうだろう?と同意を求めた。中条は無言で頷く。
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