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亜弓は、何を思ったのか顔を赤らめ興奮気味に上代に食って掛かった。
「何?何それ!?香湖が欲しい?そんなのダメに決まってるよ!
第一、カコは男の子には全然興味がないんだよ!」
香湖は亜弓の突然の思いも寄らない爆弾発言に意表を突かれ半ば焦り、半ば呆れ云った。
「何を勝手な事を」
亜弓は猫のような目をキョトキョトと泳がせながら不安げに香湖を見つめて云う。
「え?え?興味津々なの?男の子に興味津々なんだカコは!」
「何故そうなる」
香湖はため息混じりに佩き捨てたが、亜弓は聞かない。
「ダメだよ。カコは、カコはずっと私と一緒なんだから!」
そう云うと亜弓は恰も自分の物といった風に香湖をギュッと抱きしめた。
流石に香湖もこれには動揺を隠せなかった。
香湖は「亜弓!いい加減に…」と云いかけたが、
その前に上代が一人で突っ走る亜弓に、イライラしながら叫んだ。
「勘違いするんじゃねえ。必要なのはその女のサードの腕だ。
あれだけやれるなら戦力として申し分ねえからな」
香湖は亜弓を無理矢理引き剥がしながら、上代に云った。
「…斗激のメンバーとしてか…」
上代は冷笑を浮かべ頷いた。
「幾ら俺が強かろうが、他がカスだと話にならん。何せ斗激は5人でチームだからな
あんなカスが居ても邪魔なだけだ」
そう云って、上代は未だに筐体でうな垂れている下沢を顎でしゃくる。
下沢の肩がピクリと微かに上下した。
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