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わたしに零ちゃんのお弁当を作るなってことを早紀子さんの目がそう言ってる。
「ふみの弁当は、カロリーとかたんぱく質とかちゃんと計算されてるんだよ。そこらの弁当じゃ太刀打ちできないって」
声がして振り向くと唯一わたしと友達になってくれた福ちゃんがいた。
「おはよ、ふみ。一条先輩」
福ちゃんの助け船がとても嬉しかった。
「げっ、ヤベえ、遅刻する。走るぞふみ」
校門のところに立ってた先生が腕の時計を見てた。
手首をつかまれて走り出す。
零ちゃんの背中は安心できる。
「一条、待ってよぉ!」
たくさんの取り巻きの中から早紀子さんが追いかけてくる。
零ちゃんのことが好きだから。
「ふみ、遅せえぞ、チッ」
ひゃっ!?
零ちゃんが舌打ちしてわたしの体を抱えあげて走ってく。
ドSのオレ様、でも嫌いになんかなれない。
顔が熱くなる。
その後ろで苦々しげに爪を噛み早紀子さんが睨んでいたのをわたしは知らずにいた―――
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