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ひっく
零ちゃんを突き飛ばしてしまった。
騙されて悲しくて悔しい。
そんな自分も情けなくて弱くて涙は止まらない。
零ちゃんの周りにいる女の子たちのように、きれいでスタイルが良ければよかったのに…
零ちゃんのそばにいて不自然じゃないくらいに…
「何があった、ふみ!!」
あんなに必死になった零ちゃんを見たことがなかった。
もう情けない姿を見られたんだって思ったら逃げるしかなかった。
中庭の木の陰で泣いてたら、「ふみ」って福ちゃんが呼んだ。
福ちゃんがそっと制服の上着を背中から掛けてくれる。
「一条先輩、ふみが泣かされたから暴れてるよ」
「え?」
「二年の教室すごいことになってる」
二年の教室?
泣いていた涙が引っ込んだ。
「あの一条先輩を止められるのはふみだけだと思うんだけど?」
福ちゃんは優しく笑ってくれた。
そうだ、行かなくちゃ。
零ちゃんを止めなきゃ―――
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