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ひとつ年下の隣の家の子はどんくさいヤツだった。
保育所でかけっこをすれば断トツのビリ。
鬼ごっこをすればいつだって鬼から抜け出したことがない。
じゃがいも掘りをすれば穴に落ち、川で遊べば流された。
グズでノロマ、まともに誰とも口をきけないほどつっかえて近所のガキ誰もが相手にしなかった。
もちろんオレも。
「なんだよこいつ汚いな」
泥だらけになったまま隣の家の子が鉢植えにした花を持ってきた時、その土だらけの手を振り払った。
ガチャーン
音と共に目の前には割れた鉢植えと無惨になった花。
ニコニコ顔で差し出したのも一瞬で、そいつはとても傷ついたような表情をしたけれど、「ご、こめんね」と割れた鉢植えを持ってすぐに姿を消した。
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