第1章

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首を吊った。 最後に頭に浮かんだのは、「今の記憶を持ったまま転生できると良いな」だった。 ・ ・ ・ ・ ・ 鼻がひん曲がりそうな悪臭が漂う貨物列車に、胸にダビデの星を縫い付けた上着やコートを着ている老若男女と共に俺は、鮨詰めの状態で押し込まれている。 行き先は…………フッ、アウシュビッツだろうな。 最後に願った記憶を持ったまま転生するって願いは叶えられた。 ただし、罰として。 閻魔大王に言われたよ、「お前が殺した人達の苦しみを自身で体験しろ」とね。 俺は人を殺したことは残念な事に一度も無い。 だけど、俺は、俺が趣味で書いた小説の中で人を殺しまくった。 人類を絶滅させた小説を何本も書いて、数十兆、数百兆の人間を殺している。 閻魔大王に言わせると、頭に描いて文字にした時点でアウトらしい。 何故なら人を現実には殺していなくても、文字にした時点で願望や要求を周知した事になるからとの事だ。 汽笛を鳴らしスピードを落としながら、列車が絶滅収容所に入って行く。 「責苦」の主人公のように此から鞭打たれガス室に追い込まれるのか………………。
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