1。勝負は3年で決まる

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1。勝負は3年で決まる

「郁男くん今日もだめなの?」 「うん。ごめんね」 遊びに誘ってくれる友達が最近減ったな~とつくづく思う。でも仕方ないんだ。この3年間ですべてが決まるんだ。僕の人生のすべてが。ママがそう言ってるんだもん。間違いない。よくわかんないけど、この3年間死ぬほどがんばったら、僕は幸せになれるんだ。ママはよく言うんだ。いくちゃんは他のともだちとはちがうんだから、あんまり仲良くなりすぎちゃダメだって。言う通りにしないと… 「おかえり。さ、塾行くからさっさと着替えなさい」 ボクは家に帰るとすぐさま着替える。早く着替えないと怒鳴られるんだ。 「遅い。さっさと車に乗りなさい」 「どうしてこんなに毎日塾行かないといけないの?友達はみんな…」 「何度同じこと言わせるの。あなたは他の子とは違うの。あなたは医者になるために生まれてきたの。医者になって幸せにならないといけないの」 「うん…」 よくわからないけど、医者にならないといけないみたい。だってそうしないと、ボクはお母さんに…殺される。 そして僕は3年間必死に勉強して、全国でも屈指の進学校を受験。見事に合格した。
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