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店先に出ている花を片付ける。
心を躍らせながら。
今日も一日が終わった。
もう閉店の時間だ。
ということは、
今日も桑野くんに会える。
あの二人だけの空間を
堪能できるんだ。
あ、ほら。
見慣れた人影が、近づいてくる。
「那智くん、いいわよ。上がって」
「はい、お疲れ様でした」
美華さんに指示されて、
俺は片付けの手を止める。
荷物を持って外へ出ると、
桑野くんは歩き出した。
俺は急いで横に並び、
「今日、親子連れのお客さんがいて」
いつものように、話し始める。
桑野くんは嫌がりもしないで
俺の話を聞いてくれる。
このかけがえのない時間が、
俺は好きになっていた。
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