桜の王子様 1

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店先に出ている花を片付ける。 心を躍らせながら。 今日も一日が終わった。 もう閉店の時間だ。 ということは、 今日も桑野くんに会える。 あの二人だけの空間を 堪能できるんだ。 あ、ほら。 見慣れた人影が、近づいてくる。 「那智くん、いいわよ。上がって」 「はい、お疲れ様でした」 美華さんに指示されて、 俺は片付けの手を止める。 荷物を持って外へ出ると、 桑野くんは歩き出した。 俺は急いで横に並び、 「今日、親子連れのお客さんがいて」 いつものように、話し始める。 桑野くんは嫌がりもしないで 俺の話を聞いてくれる。 このかけがえのない時間が、 俺は好きになっていた。
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