桜の王子様 1

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友達らしき優しい女子生徒に促され、 紅と呼ばれた子は赤い顔で話し始める。 「あ、あの、お昼って・・・」 「クラスメイトと食べる約束をしているけど・・・どうかした?」 「あ・・・」 その子のテンションが、一瞬にして下がる。 きっと、俺を誘おうとしてくれたんだろう。 「し、失礼します!」 俺が次の言葉を言うより先に、 ダッシュでこの場から消えてしまった。 明日なら大丈夫だよ、と言おうと思ったのに。 「やっぱり王子様人気はすごいよねぇ」 「この高校の全員が王子様のこと、好きなんじゃない?」 付き添いの友達が、俺のことを話しながら去っていく。 ・・・王子様、だって。 いつも笑顔を絶やさないようにして、 女性には優しく振舞っていただけで、 付いたあだ名が「王子様」。 でも、仕方がないと思わない? あそこでまだ口げんかしているクラスメイトも、 明るくてハキハキしていて可愛いし、 今立ち去った「紅」っていう女の子も、 内気なところが可愛い。 付き添いの女の子だって、 友達を気遣って一緒に来るなんて、心が綺麗な証拠。 女性はみんな、 可憐で美しい生き物なんだ。
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