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友達らしき優しい女子生徒に促され、
紅と呼ばれた子は赤い顔で話し始める。
「あ、あの、お昼って・・・」
「クラスメイトと食べる約束をしているけど・・・どうかした?」
「あ・・・」
その子のテンションが、一瞬にして下がる。
きっと、俺を誘おうとしてくれたんだろう。
「し、失礼します!」
俺が次の言葉を言うより先に、
ダッシュでこの場から消えてしまった。
明日なら大丈夫だよ、と言おうと思ったのに。
「やっぱり王子様人気はすごいよねぇ」
「この高校の全員が王子様のこと、好きなんじゃない?」
付き添いの友達が、俺のことを話しながら去っていく。
・・・王子様、だって。
いつも笑顔を絶やさないようにして、
女性には優しく振舞っていただけで、
付いたあだ名が「王子様」。
でも、仕方がないと思わない?
あそこでまだ口げんかしているクラスメイトも、
明るくてハキハキしていて可愛いし、
今立ち去った「紅」っていう女の子も、
内気なところが可愛い。
付き添いの女の子だって、
友達を気遣って一緒に来るなんて、心が綺麗な証拠。
女性はみんな、
可憐で美しい生き物なんだ。
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