桜の王子様 1

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「今日のお昼に誘ってくれた子、だよね」 「お、覚えていてくださたんですね」 「うん。紅ちゃん、だっけ?」 「は、はい!く、桑野紅、です」 やっぱり顔を赤くしながら、もじもじしてしまう。 ・・・可愛いな、紅ちゃん。 「今日は花を買いに来たの?」 覗き込むようにして、笑顔で話しかけると、 赤かった顔が、より赤くなった。 このまま蒸発しちゃいそうだ。 「は、花、です。はい」 「じゃあ、中でお話聞かせてくれる?用途に合ったお花、作るからさ」 中に入ると、彬さんはまだ接客中だった。 じゃあ、俺が聞いてみようかな。 「えっと、プレゼント用かな?それともお見舞いとか?」 「・・・プレゼント用です」 「予算はどれくらい?」 「と、特には・・・」 「お相手の年齢とか雰囲気とか、差し支えない程度に教えてくれる?」 「え、えっと・・・」 紅ちゃんがまごまごしている。 そんなに表現しにくい相手なんだろうか。 「さ、桜庭さんの・・・」 「うん?」 「桜庭さんの好みで、お願い、します」 「・・・俺の?」 困っていると、後ろから美華さんが「作ってあげたら?」と言ったので、 とりあえず作ってみることにした。 オレンジのバラとコデマリを合わせ、 ガーベラを数本入れる。 「こんな感じでどうかな?明るすぎる?」     
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