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お前、また会社を売ったんだってな・・
此れからどうするつもりだ?
圭が死んでこっちに居ても一人だろう?
どうだ?家に帰って来る気は無いのか?」
僕は父の言葉に顔をしかめてため息を吐いた。
「父さん説教なら今度にしてよ、そんな話なら帰らせて貰うよ」
そう言うと僕の腕を捕まえた。
「まあ怒るな・・
お前も飲むか?」
今夜の父はやはりおかしい、叔父を亡くした悲しみだろうか?
父はまた話し出す。
「比奈子の事だが・・あの子はお前がアメリカに行った後8か月して生まれた。
少し未熟児でな・・
なあ裕人、お前、あの彼女を覚えてるか?」
「あのって・・」
「お前がアメリカに行った後あの彼女、高田静香さんからお前宛に手紙が来た。
お前には悪いと思ったが僕はそれを開封し読んだ。
手紙には追い詰められたとは言え、父親の名にお前の名前を使った事をすまないと素直に詫びていた。
勿論本当の父親の名はなかった。
其から、今は親戚の家を出て子供を産むために一人で働いていると書かれていた。
僕はその手紙を浅子には隠した。
浅子が此を見たらきっとその彼女を許さないと思ったからだ。
あいつはお前を溺愛してたからな。
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