叔父の秘密

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半年ほどしてまた手紙が来た。 僕はそれも開封し読んだ。 彼女は体調を崩し入院していた。 お腹の子供は直に産まれる。 でももし自分が死んだらと思うと不安で堪らないと書かれていた。 どうやら彼女は子供を産む事を反対され家を出たようだった。 僕はその時になって初めて浅子に手紙を見せた。 前の手紙にお前の子じゃないとは書かれていたが、本当はお前の子かも知れない。 彼女に何かあったらその子はどうなる? 二人で話し合って彼女の入院先に見舞に行った。 手紙の送り先の住所が病院らしく、それは直ぐに探せた。 でもそこは病院と呼ぶにはあまりにもお粗末で、殆ど設備も整ってはいない潜りの診療所だった。 たった16歳の金もない娘が一人で子供を産むためには、そんな病院しか無かったのだろう。 僕達は彼女を連れ帰り僕の友人が経営する個人の産婦人科の医者に診せた。 「お腹の子供の発育も良くないし、彼女自身の栄養も足りてない・・ それに、患者は心臓に先天的な欠陥がある。 このままじゃお産は難しくなる」 医者にそう言われた。 浅子は遠慮する彼女を家に住まわせて、食事の世話から産まれて来る子供の産着迄、親身に見になって面倒を見た。 彼女ももしかしたらお前の子供かもしれないと考えていたのだろう。 臨月になって子供はどうにか産まれてきても生きて行ける体重になったが、彼女の方は体調を戻せずにいた。 そしていよいよ出産となった夜、彼女の体調は最悪の状態だった。 子供はどうにか助かったが彼女は直ぐに息を引き取ってしまった。 向こうの親と話したがらちも開かない・・ 我子の事より世間体ばかりを口にする。 腹が立った僕は思わず子供は此方で引き取ると言った。 反対すると思った浅子は、良く言ってくれたと僕を誉めてくれたよ。 僕は出産証明書の親の欄に僕達夫婦の名前をと友人に頼んだ。 違法なのは分かっていたが子供のためだ。 友人にしてみれば迷惑この上ない。 捕まれば医師免許処か病院迄閉めなければならないからな・・ それでも僕はひとえに子供のためだと友人を説得した。 そして子供は僕と浅子の実子として届け、僕達の死んでしまった子に用意していた(比奈子)の名前を付けた」
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