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慎重に、ビーカーの中の液体を量りながら、ラブ・ウェルシアは毒づく。透明度の高い緑色の液体はきらきらと流動して、どうしても心が凪ぐが、それでも彼の眉間の皺は、刻まれたままだった。不機嫌そうな顔は、生まれつきらしい。
魔術師のラボというと、薬品の匂いが漂い、魔術書や様々なレシピが綴られた羊皮紙が、規則性を持ったように散乱し、ビン詰のナニカが書架の一部に置かれていたり、火の加護を受けるため暖炉が設置され、その他は全体的に暗い空間、というものが多いだろうか。
ところが、ラブ・ウェルシアお気に入りの、彼専用ラボは、自宅の地下に設けられているにも拘らず、常に南中並みの明るさで、シングルベッド程の大きさの作業台がひとつ、壁一面にはウォールナットの一枚板が垂直に取り付けられ、棚の役割を果たしていた。その棚には、場所ごとに置くものが決められていて、本、薬品、ビン詰のエリアと、小物を収納するための小さな箱が敷き詰められているエリアがある。そして暖炉はなく、代わりに少し大きめのアルコールランプが机上に置かれているだけだ。
そこで今、魔術師ラブ・ウェルシアは、黙々と作業台に向かっている。
「独り言こわーい。この人やばーい」
ザザザとノイズが混じる、低い声が聞こえた。調子は上げているようで「尚更耳障りだ」と、ラブは思った。
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