「最恐百物語コンテスト作品」満月

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かれこれ十年近く前の出来事です。当時 独り旅がマイブームで よくひなびた温泉宿や 人気のいない冬の海とかに宿も決めずに向かっては 泊まってくると言う 独り旅を月に一回くらい 二年ほどやっていた時期があって その時の出来事です。 冬の海を何キロも 道路を歩き続けて 夕方近く 海に面したホテルにその日の宿泊が取れて 近くのお店へ行ってはお弁当をつまみに買ってきた缶ビールを飲みつつ 運よくそのホテルには 温泉大浴場があって 冬の海を見ながら何キロも歩いた疲れを癒して夜の大浴場 独り占めみたいにしては 部屋へ戻り また 缶ビールを一本開けては つまみの柿の種ピーをポリポリやりながら 好きな音楽をCD ウォークマンで聴いては自分の世界に入っていたのだが。 いつのまにか 眠気に襲われて 布団に入り うとうとしていたんですよね すると 十階くらいの部屋なのだが 波の音が ザーザーって 耳につくんですよ ううむ ふと目が覚めてしまった私は トイレに行っては 用を足して なにげに 冬の夜の海が気になって カーテンを開けて 窓を開いて見てみたんですよね まあ 近くに灯台があるわけでもなく 遠くの町の光やらが見えるだけで 相変わらず 波の音だけが ザー ザーって聞こえるんだが なにげに 空を眺めたら 大きな月が光ってて 「今夜は満月だったんかぁ」と思いつつ ふと 海の先 遠くの空を見たら なんと そこには三日月が。 えっ? 一瞬 訳がわからなくなったが。 まあ なんかの見間違いだろうと 気にせず また寝てしまったんだが 翌朝  まだ早い時間に 朝食前に なんか冬の早朝の海に触りたくて 海辺に出たんですよね すると 三日月が まだ 消えずに早朝の空にあったんですよ 「っつうことは 三日月が本物で 満月は なんだったんだぁ?」と疑問に思うも 満月と間違えるような 光源になるような物を探してみたんだが 特に何もなくて まあ 考えてもしょうがないから 海やホテルや 風景を 携帯写メで撮影しては 部屋に戻り 朝風呂へ行ったり 食事を食堂へ食べに行ったりして チェックアウトの時間になったわけだ それで 受付のおじさんに ふと 「このホテルの近くに 飛行場みたいのありますか?」と訊ねたのだが そこで おじさん なんか険しい表情になって「お客さんもあれ見たのか?」と
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