??章:夢が覚めたなら

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不良の噂が立っているからと言って何か事件が起こる訳でもなく。普通に授業が始まり終わった。 休み明けの確認テストに文句を言ったり、休み時間に他愛もない話をしていたらあっという間に放課後だ。 家に帰ると昨日とは違うゲームをする。何となく昔にクリアしたゲームを最初からやり直した。 マリは変わらず遅くに帰ってきている様だが、事前に話し合っていたのか怒号は聞こえてこない。 次の日も同じ日常。マリと一緒に登校し、授業を受けて、つまらない話をして、帰って、ゲームをして、寝る。 トラックに轢かれる事なく、クラス単位で異世界に召喚される事もなく、突然神と名乗る者が現れる事もなく。 変わらない日常。欠伸が出るほどの平穏。平々凡々。これが普通だ。大半の人間はこんなものだろう。 気が付けば学校が始まってから一週間が経っていた。内容の薄い日々を過ごしてきたせいか時が経つのが早い気がする。 そう思ってもこの生活を変える気はない。これまでがそうだったように、これからも同じような事を繰り返していくのだろう。 そう思っていた。それなのに。事件が起きた。テレビの中の話ではなく身近な話として。 マリが帰ってこなかった。
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