??章:夢が覚めたなら

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文字を打つのに夢中で周りを見ていなかった。いつの間にか家からも繁華街からも離れた場所に来ていた。 この辺りにはあまり来た事がない。それはマリも同じはずだ。ここには工場とかしかないのだから… あれ…工場?最近何か聞いたような。早川が言っていた…カナちゃん…じゃなくて、その後。 確か、不良が集まっているとか。それも廃工場に。それで…女の子を連れ込んでいるとかなんとか… 走り出した。そんなはずはない。アイツに限って。そんな奴らに捕まるようなことは。 そう思っていても急がずにはいられなかった。廃工場を探すがなかなか見つからない。 こんな事なら早川に場所を聞いておくべきだった。今からでも聞くか? スマホを取り出そうとした、ちょうどその時、スマホが震えた。なんだ、こんな時に。 スマホの電源を入れた。ラインだった。メッセージが大きく表示されていた。 『ごめんね』 マリからだった。どういう事だ。意味が分からない。立ち止まり返事を打とうとした。 『何がだよ。つか、どこにいんだよ』と。しかし、それは送信されなかった。 すぐ後ろで大きな音がしたからだ。それはどことなく水っぽい音だった。
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