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何でここにクロがいるんだ?幻覚か。マリが死んだショックで幻覚を見ているのか?…そうだ、マリ…なんでこんな事に…
クロからマリに視線を移した。が、マリがいた場所には何もなかった。マリの遺体も血の跡も。
「は!?」
「マスターの平静を取り戻すため、遺体は消させていただきました」
クロが話しながら近づいて来た。え?あれ、クロって俺の幻覚じゃないのか?
「先ほども言いました通り、ここは夢の中です。ただ、普通の夢ではなく、幻術によって作り出された悪夢です」
「げん…じゅつ…?ここが?あり得ない。ここは日本だぞ。異世界の奴にこの世界を作り出す事が出来るはずがない」
「幻術はその者にとっての悪夢を作り出すだけで、状況は掛けられた本人の記憶を基にしているのです」
クロの説明を聞いても納得できない。悪夢って大体その本人に何かしらが起こるものなんじゃないのか。
殺人鬼に追いかけ回されたりだとか、死ねない拷問を受けたりだとか。そういうのだろ、普通は。
「これは幻術の対処方法を教える必要がありますねぇ…」
「なんか言ったか?」
「いえ。取り敢えず、起きましょう。トラとウサ子が心配してますよ」
そう言うや否や、世界が光り始めた。
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