??章:夢が覚めたなら

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目を覚ました。そのはずだが目の前が真っ暗だ。夜中で電気がついていない、という訳ではない。 顔の上に何かが乗っていて見えないだけだ。身体を起こしながら上に乗っているモノを退ける。 「んぅ~…やだぁ…ここにいるぅ……あれっ!?ますた~…?ますた~!!」 顔の上に乗っていたのはウサ子だった。飛びついてくるウサ子を受け止めながら辺りを見渡す。 ベッドの近くでトラが安心したように俺を見ていた。クロは枕の近くで丸くなっている。 他には見た事のある家具が置かれていた。どうやらここは俺の部屋のようだ。 「おはようございます。3日ぶりの起床ですが、体調はいかがですか?」 「3日も寝ていたのか…」 夢の中では何週間も過ぎていたけど、現実ではそんなに経っていなかったんだな。 そういえば、何でこんな事になったんだっけ。起きたばかりで頭が回らない。順に思い出していくしかないか。 始まりは…たぶんあの日だ。あの学園武闘祭が終わった後の休みが明けた日。 日課をこなすためにいつも通り早起きしたら、普段は置物と化していた電話が鳴った。あの日。
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