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鉄刀を握りしめ素振りを始める。10回も振らない内に部屋にベルが鳴り響いた。
この音、昔のドラマを見ていた時に聞いたことがある。確か、これは黒電話の着信音だ。
廊下に目を向けた。ソレはこの部屋に来た時からあった。廊下の一部を占拠する古めかしい電話機が。
その電話機が自己主張するように鳴っている。ったく、こんな朝早くに誰だよ。俺は受話器を取った。
「はい」
『あ、五十嵐麟児くんですか?』
「そうですが…えっと、あn――」
『ああ、良かった。早速で申し訳ないのですが、8時までに学園長室に来てください』
「は!?ちょ……っち、切れてる」
誰だ、今の。めちゃくちゃ急いでるみたいだったけど。にしても、一方的に用件だけを言うのはダメだろ。
無視しようか。と、行きたいところだけど。呼び出されたのが学園長室だからなぁ…
今は…6時半か。学校に行くのに10分も掛からないし、一応素振りは出来るかな。他は無理そう。
ってか、この時間に電話してくるなんて…もう何も言うまい。面倒だ。心を無にして鉄刀を振る。
素振りが終わるとシャワーで軽く汗を流した。朝ご飯を食べて、身支度を整えて、寮をいつもより早めに出た。
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