1章:え!?冗談でしょ!?

2/23
前へ
/38ページ
次へ
鉄刀を握りしめ素振りを始める。10回も振らない内に部屋にベルが鳴り響いた。 この音、昔のドラマを見ていた時に聞いたことがある。確か、これは黒電話の着信音だ。 廊下に目を向けた。ソレはこの部屋に来た時からあった。廊下の一部を占拠する古めかしい電話機が。 その電話機が自己主張するように鳴っている。ったく、こんな朝早くに誰だよ。俺は受話器を取った。 「はい」 『あ、五十嵐麟児くんですか?』 「そうですが…えっと、あn――」 『ああ、良かった。早速で申し訳ないのですが、8時までに学園長室に来てください』 「は!?ちょ……っち、切れてる」 誰だ、今の。めちゃくちゃ急いでるみたいだったけど。にしても、一方的に用件だけを言うのはダメだろ。 無視しようか。と、行きたいところだけど。呼び出されたのが学園長室だからなぁ… 今は…6時半か。学校に行くのに10分も掛からないし、一応素振りは出来るかな。他は無理そう。 ってか、この時間に電話してくるなんて…もう何も言うまい。面倒だ。心を無にして鉄刀を振る。 素振りが終わるとシャワーで軽く汗を流した。朝ご飯を食べて、身支度を整えて、寮をいつもより早めに出た。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加