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雲一つない快晴。空には暖かい光を届ける太陽が1つ。時折すぐ横を通る車のエンジン音。
周りには賑やかな声。遠くから聞こえてくるのは運動部の掛け声、吹奏楽部の楽器の音。
手元にはゲームを起動し始めるゲーム機。服装は紺色のブレザーとズボン。制服だ。『日本の学校』の。
あれ?ここは日本?あれ?俺、異世界に行ったんじゃなかったっけ?あれ~?
周りをもう一度観察してみるが、アスファルトで舗装された道路や電柱など馴染みの風景しか広がっていない。
「…夢か」
やっぱりな、そうだよな。俺みたいな奴が異世界になんて行ける訳がないよな。
いや、そもそも異世界なんてものがないか。…ん、って事は白昼夢を見てたって事か?
マジか。やべぇな。病院行った方が良いんだろうか。…いいか、めんどくさいし、危険なモノでもないだろうし。
「にゃおぅ」
猫の鳴き声が聞こえた。ゲームをしようと下げかけた頭を上げ、声のした方を向く。向こう側の歩道に黒猫がいた。
「クロ!!」
近づこうとした瞬間、黒猫は家の間に逃げていった。そうだよな、野良猫は警戒心が強いもんな。
つか、あの黒猫がクロなわけがない。クロは俺が見た夢の中にしかいないんだから。
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