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その人物は意外や意外、咳女子だった。サユリさんが真っ先に来ると思ったんだけど。
「ゴホ…それが…君の素?…ケホ」
「…そうだな。目立たないように真面目キャラを演じてたんだよ…無駄だったけどな」
「そう…そっちの方が…ゴホ…良いと思う…ゴホゴホ」
なんだか知らんが好印象らしい。どうでもいいけど。咳女子はすぐに自分の席に戻ると思っていたが更に近づいて来た。
このままだとぶつかってしまう。横にズレた。これでぶつからずに済む。そう思ったが、突然咳女子が俺の手首を掴んできた。
振り払おうとしてもなぜか離れない。え、女子の力に負ける程ひ弱なのか、俺って。
「こっち」
咳女子は俺の手首を掴んだまま、オルニーに声をかけ教室を出て行こうとする。急展開に頭が追いつかない。
咳女子はどこに行こうというのか。オルニーも訳が分からないといった様子だが、ちゃんと後をついてきている。
「…あぁ…逃げねぇから、取り敢えず手ぇ放してくんね?」
「だめ…ケホ…逃げるでしょ」
信用ねぇな。逃げる気満々だったけど。仕方ない。咳女子が行こうとしている場所が分かったんだから。
咳女子は第1闘技場に行こうとしているんだろう。方向的に間違いないと思う。
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