301人が本棚に入れています
本棚に追加
どうやって抜け出そうか考えている間に第一闘技場に着いてしまった。そこで漸く腕を解放された。
「勝負する…ゴホ…するなら…ココ…ゴホ」
「え!?勝手に使っていいんスか!?」
「大丈夫…ゴホゴホ…」
咳き込みながら咳女子が第一闘技場の中を指差した。中を見ると先客がいた。
壁に背を預けてアイマスクをつけた中年男性だ。見覚えがある。というか、担任だ。ここで寝てたのか。
咳女子が担任の方に近づいて行った。何をするつもりだ。不意に咳女子が両腕を広げた。
手には何かが握られていた。左手には丸いモノ。右手にはハンマーの様なモノ。
それが何なのかを理解し、耳を塞いだ。その直後、咳女子が両腕を閉じ、凄まじい音が鳴り響いた。
耳を塞いでなければ鼓膜が破れていたかもしれない。そんな音を出した正体は多分『ドラ』だろう。
あんな小さなドラでこんなにも大きな音を出せるはずもないが、そこは魔法的な力が加わっているのだろう。
咳女子から離れていてもコレだけの音だ。近くに居た担任は冗談抜きで鼓膜が破裂していそうだ。耳も無防備だったし。
その担任はというと、倒れていた。あれ。ショック死してるんじゃね?
最初のコメントを投稿しよう!