??章:夢が覚めたなら

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あほらし。さっさと帰ろ。このゲームの他にもやらないといけないゲームがまだまだある。 「シ~ンシン!またゲーム?」 背中を強く叩かれ危うくゲーム機を落とす所だった。俺をこんな独特な呼び方で呼ぶのは1人しかいない。 「マリか」 振り返ると幼馴染の新泉 茉莉(にいずみ まり)がいた。昨日も見た顔のはずなのにすごく久しぶりに見た気がする。 「どうしたの?私の顔を見つめて。あっ!もしかして私に見惚れちゃった?」 「ハッ!言ってろ」 「鼻で笑わなくてもいいじゃない。…はぁ、まあいいか」 こんな何気ない会話でさえ懐かしさを感じる。ダメだな、まだ寝ぼけてるみたいだ。…寝てないけど。 ゲームをしたら目も覚めるだろ。マリが話しかけてくるが、適当に相槌を打っておく。向こうも喋りたいだけだから問題はない。 ゲームで任務を幾つかこなした。今やっているゲームは転生物だ。これの所為かな、俺が異世界に行った夢を見たのは。 「あ、そうだ。そういえば、報告したい事があったんだった。私、新泉茉莉、このたび彼氏できました~」 「へぇ~」 「あれ?それだけ?」 「それだけ?って……あぁ~なんだ、おめでとう?」 「なんで疑問形?もういい!私こっちに用事があるから!じゃあね!」 マリはマンションがある方向とは違う方に行ってしまった。なんか怒ってたみたいだけど、なんだアイツ。
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