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翌日、家を出ると顔色の悪いマリがいた。どうやら想像通りに小母さんにあの後しっかり怒られたようだ。
「おっはよ~シンシン!」
顔色に反して本人は元気そうだ。ただの寝不足なのかもしれない。まぁコイツの心配するだけ無駄か。
「はよ」
マリには短く返しておく。寝不足なのは俺もだった。ラスボスの後が意外と長くてすぐに眠れなかったからだ。
エレベーターへと向かう俺の後をマリがついてくる。これはいつもの事だから何も思わない。
エレベーターの中に入って1階のボタンを押す。さっきはああ思ったけどコレってあまり良くないんじゃないか?
「そう言えばさ、お前って彼氏が出来たんだよな」
「うん、そうだよ。焦った?」
「いや、まぁ、焦りはしないけど…それよりも、俺と一緒に居てもいいのかなって思ってさ」
マリはすぐには何も言わなかった。気まずい空気が流れる。エレベーターの中だからどこにも逃げられない。
沈黙のままエレベーターは1階に着いた。取り敢えずエレベーターから下りる。
「う~んとね、大丈夫だよ。あの人はそんな小さな事を気にしない人だから。シンシンはやっぱりそういうの気になる?」
「どうだろ。気にしないって言ったら嘘になる…か?正直よく分からん」
「ふ~ん、そうなんだ」
言葉は素っ気ないものだったが、声はどことなく嬉しそうに聞こえた。気のせいだろうか。きっと気のせいだろう。
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