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昼ご飯を食べてから近所のパーキングまで賀川を見送った。
賀川はまだ大丈夫だと言ったが、明るいうちに安全運転で帰って欲しかったし、明日に備えてゆっくり身体を休めてもらいたかったのだ。
「ほんとに気を付けて」
運転席に乗り込んだ賀川に、結城はもう何度目か判らない言葉をかけた。
「判ってるよ。向こうに着いたらすぐ電話する」
免許を持たない結城は、高速での長距離運転がとてつもなく大変なことに思えて、心配でならないのだ。
「そんな顔してると、出発できないぞ」
「うん」
賀川は笑って、大きく開けた窓から腕を伸ばし、結城の冷たい頬を、指の背でスルと撫でた。
「風邪引くな」
「賀川も」
頷いて賀川はエンジンをかけた。
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