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「ほら、かわいい」
見せられた写真は構図も何もめちゃくちゃだったけれど、結城は自分でも見たことがないほど、明るい顔で笑っていた。
そのことに純粋に驚き、そして結城の後ろでこれまた一点の曇りもない笑顔を見せる賀川の顔を見て、なんだかとても胸が熱くなった。
「欲しいな、それ」
少ししてから小さく呟くと、もう送った、と耳元で囁いて、賀川はそっと結城のこめかみにキスをした。
それからしばらく温かい炬燵の中で寄り添いながら、静かな時を過ごした。
頼もしい胸に横顔を埋め、優しくて大きな手に髪を撫でられながら、うっとりと目を閉じる。
時折見上げると、優しい眼差しが必ず自分を見ていて、髪を撫でてくれる強くてがっしりした手に、白く細い指を絡ませると、賀川はその指を持ち上げて一本一本にキスをしてくれた。
それが嬉しくて、結城は頬を上気させながら、また逞しい胸に顔を埋める。
世界中どこを探したって、こんなに結城を安心させてくれる場所は他にない。
「寝るなよ」
「……寝ないよ」
まどろむような声で言うと、広い胸が震えて、賀川が小さく笑ったのが判った。
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