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 アパートに戻ってすぐ、頼子からのメールが届いた。添付ファイルがあるので開いてみると、咲を抱っこした結城の写真だった。  面映ゆげに、けれど意外にも柔らかく微笑んでいる。 『お兄ちゃん、なんだかとっても優しい顔になったね!』  頼子からのメッセージに少し驚きながらも、嬉しくなった。  だってそれは賀川がいてくれたから。  賀川がくれる大きな愛に包まれて、自分はどんどん変わってゆくだろう。  昨夜賀川が撮った写真を見つめる。賀川のそばで笑っている顔を見ると、もうすでに自分は変わり始めているのだと、確かに感じることが出来た。 (いつか、好きなひとがいると言おう)  結城を抱き締めながら笑う賀川の頬に、そっと指先で触れながら、結城はちいさく微笑んで、アリガトウ、と囁いた。 おわり ********************************************************* お読みいただき、ありがとうございました!
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