0人が本棚に入れています
本棚に追加
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
教室に次々と人が集まってくる。
怜はただ,自分の勇気の無さに憤りを感じていた。自己嫌悪の波が押し寄せてきて,午後の授業は到底集中することなど出来なかった。吐き気が止まらない。胸の中で蟲が蠢いている様だった。
ゴキブリのことを周りに広める者は居なかった。あの場にいた全員が木村の睥睨の意味を理解していた。
怜はただ暁人に今日のことを話したくて仕方がなかった。
文化部の怜と,運動部の暁人とでは帰る時間が違う。それがもどかしかった。運動部に入ることも考えたが,運動が苦手な怜には気が進まなかった。わざわざ毎日劣等感を得るために活動なんてしたくない。
怜は部活を終えると公園へ向かった。
暁人が来るかはわからなかったが,何となく来るような気がしていた。
最初のコメントを投稿しよう!