プロローグ

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幼い頃、母によく言われていた事があった…。 『乃愛(のあ)…ごめんなさい…あなたを“女の子”で産んでしまって、本当にごめんね…』 母はよく、そう言って泣いていた。 私は言っている意味がよく分からなくて、母によく聞いていた。 『ママ、何でのあは、おんなのこに、うまれちゃダメだったの?のあ、おとこのこじゃないと、ダメ?』 母は何も言わずに泣いて、私を抱き締めているだけだった。 『ごめんなさい………本当に、貴方の幸せを…母親の私は奪ってしまった……ごめんね……ごめんね、乃愛!』 母は、私が6歳の時に病気で亡くなった。 父親も、私が16歳の誕生日を迎えた一週間後に、事故で亡くなった。 他に身寄りもない私は、今、高校に通いながら一人暮らしをし、アルバイトをしつつ、静かに暮らしていた。 そうー…… あの日、『彼ら』が、私の高校に現れる前までは…。
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