1281人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
「...はぁ...はぁ...つか、れたぁ~っ」
乃愛は右足を庇いつつ路地を歩いていた。
蒔田に澤村さんへ連絡するようにと言われたが、庵達や翼達の事を考えると連絡出来ず、どうしたらいいかもわからず、乃愛は行く宛もなくただひたすらに路地を歩いていた。
「はぁ...はぁ...どっかで休みたいっ、どこかに座れそうな場所ないかしら?」
乃愛がコンビニを出てから30分ほどが経過していた。
乃愛は背負っていたリュックからスマートフォンを取り出して地図アプリを開くと、今自分が居る場所の近くに休む場所はないか確認していた。
「...あ、すぐ近くに公園があるみたい!」
自分が今居る場所から公園迄は歩いて一分もかからない場所にあり、乃愛はスマートフォンの画面を見ながら地図に示されている公園へ向かって歩きだした。
「えっとー...左曲がって、真っ直ぐいってー...はっ!あった!」
乃愛が着いた公園は、そんなに広い公園ではなく、ブランコが2つ、二人掛のベンチが1つ、滑り台と砂場、鉄棒とキャッチボールが出来るくらいのスペースがあり、回りは四角くフェンスや植木で囲まれている公園だった。
公園の出入口は二ヵ所あり、そのうち一ヶ所に石造りの石碑があり、その上には公園の名前が彫られていた。
「三葉一丁目公園...か...」
乃愛が空を見上げると夕暮れになっており、乃愛は持っていたスマートフォンの時刻を見ると、もう少ししたら日が沈む時刻になっていた。
とりあえず早く座りたかった乃愛はベンチの所まで歩き、背負っていたリュックを前に抱き直して座った。
「はあーーっ!疲れたよーっ!!」
乃愛はベンチに座ると全身の力が抜け、ぐったりして空を見つめた。
「...これから、どうしよ...」
見上げる空にはカラスなのか鳥達が飛んでいる。
「...あの鳥達は...家に帰るのかなぁ...」
庵の所に帰ると総司に告げたが、ハルの事を考えると会いたくなくて、何をどうしたらいいのかもわからず、涙がまた溢れて見上げていた空が滲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!