第2章

24/30
前へ
/30ページ
次へ
16  結城は稽古の成果が認められ「九級空帯」に認可された。賞状を貰う時に、ちらちら見学席を見て、母の真智子が見ていることを確認した。  賞状を渡しながら師範が言った。 「結城、頑張ったなぁ……強くなるんだぞ!」  結城は元気に「押忍!」と返事をした。  審査会が終わった帰り、道場の隣にあるファミリーレストランの《ロイヤルホスト》で、ささやかな祝賀会をやってもらった。  学校行事が終わったお姉ちゃんが合流して、祖母、母、父と、結城を含めた五人で食事をした。  結城は大好物の和風ハンバーグに、今日はお祝いという意味合いもあって、チョコレート・パフェも付けてもらった。  母は自分の料理には、手を付けず、何度も何度も結城の賞状を嬉しそうに眺めていた。 「ゆうくん、頑張ったね」 「うん、ゆうくん、痛くても、頑張ったよ」  ハンバーグを箸で崩しながら、結城は嬉しくなって答えた。真智子は確認するように、何度も呟いた。 「ゆうくん、強くなったよね、本当に強くなった」  真智子の眼には、うっすらと涙が浮かんでいる。 「ゆうくん、頑張って、黒帯になろうね」 「うん、僕、必ず黒帯になるよ」  
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加