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人にはいろんな表情があるが一番怖い表情は無表情だと俺は思う。
そして、それは咲良も同じようだった。
無表情の雛人に見つめられた咲良はわたわたしながら『えっと~・・・えっと~・・・』と声を漏らしていた。
咲良・・・なんだか蛇に睨まれた蛙みたいだ・・・。
俺はそんなことを心の内でひっそりと思いつつ、止めていた息をフーッと吐き出し、無表情の雛人をじっと見返した。
バチリ・・・。
そんな音が聞こえた気がした。
雛人と視線が合わさった。
真っ直ぐな強い視線だ。
「 ・・・雛人。咲良が怖がってる」
「怖がらせてるつもりはない」
雛人の返しに俺は心の内で『わかってるよ』と言って溜め息を吐き出した。
わかってるよ。
そんなこと・・・。
雛人の性格は把握しているつもりだ。
雛人とはそれなりに長い付き合いだ。
中学から数えると雛人とは5年の付き合い・・・。
けれど、その5年と言う歳月は本当に濃厚なものだ。
現在進行形で・・・。
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