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何度も何度も・・・。
何度も何度も同じ動作を繰り返す・・・。
まるで何かに取り憑かれているかのように何度も・・・何度も・・・。
少しでも上手くなりたくて・・・少しでもアイツに近づきたくて・・・。
「春海」
不意に声を掛けられた俺は転けそうになりつつもシュートの体勢へと入り、不安定なまま手にしていたボールをゴールへと放ってみた。
放ったボールは真っ直ぐにゴールへ・・・。
けれど、シュートとはならなかった。
こんなもんだ。
俺は・・・。
「ごめん。邪魔したね」
そう言って俺の横にやって来たのは同級生であり、俺の親友でもある月洞 咲良だった。
咲良は俺と視線が合わさると苦味のある笑みを滲ませた。
「咲良のせいじゃないよ。俺が下手なだけ」
俺はそう言ってダラダラと鈍く転がっているバスケットボールを睨むように見つめ見た。
下手くそ・・・。
俺はそう心の内で毒吐いて大きな溜め息を吐き出した。
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