激突

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激突

「おいっ!! 離せっ!! 離せってばっ!! 春っ!!」 俺はグラグラと吠えまくる狂犬の胸ぐらを掴んだまま階段を下りて体育館へと向かった。 「おいっ!! 聞こえねぇのかっ!? おいッ!!」 雛人は俺よりも力が弱い。 それは雛人が俺よりも細く、軽いからだ。 ただ、それはただの『力』の場合だ。 ただの『力』からそれが『体術』に変わると俺の方が不利になることが多い。 「ギャンギャンギャンギャンうるせぇな・・・」 俺は雛人をぐいっと引き寄せて力任せに突き飛ばした。 それでも雛人は転けなかった。 雛人は身体の軸のバランスがいい。 体勢を整えた雛人は俺をこれでもかと睨み付けてきていた。 ゾクリとするような鋭い目付きで・・・。 「雛人くんっ!! 春海くんっ!!」 悲鳴のような友利先輩の声が体育館に響き渡った。 それなのに俺の沸き上がった頭は冷やされなかった。
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