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ああ・・・それだ・・・。
その目が欲しかった・・・。
俺は右の脇腹を押さえつつ立ち上がって大きく息を吸い込んだ。
どうやら骨は折れていないらしい。
うん。
奇跡的だ。
雛人の蹴りは強烈だからあばら骨の一本や二本は犠牲になることを覚悟していた俺だ。
うん。
犠牲にならなくてよかった・・・。
「何・・・じゃねぇよ。構えよ」
俺は雛人にゆっくりと近づいた。
雛人はゆっくりと近づく俺を本当に嫌そうに見つめていた。
「めんどくせぇって言ったの・・・聞こえなかった?」
雛人は制服のネクタイをだいぶ緩め、大きな溜め息を吐き出した。
こっちに来んじゃねぇ・・・。
そう言われていることは明白だった。
それでも俺は止まらなかった。
「雛人くんッ!! 春海くんッ!! 駄目だよッ!?」
また友利先輩の悲鳴のような叫び声が聞こえた。
それに雛人はピクリと反応し、友利先輩の方へと柔らかな視線を送っていた・・・。
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