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「春海・・・頑張ってるね。凄いと思うよ」
「うん? いきなりどうしたの? 照れるんだけど」
俺はバスケットボールを抱き抱え、真顔でそう言ってくれた咲良をじっと見つめ見た。
ああ・・・駄目だ。
俺は照れ臭くって笑ってしまっていた。
褒め慣れていない俺は少しのおだてでも照れてしまう。
まあ、褒められるような長所、俺にはないけれど・・・。
咲良は高校生だがイラストレーターとして活躍しているし、咲良の彼氏の如月 要さんは有名大学の法学部に通いつつ、こっそりと歌い手活動もしている。
三年の田代 友利先輩はいつも優しくて温かいし、友利先輩の彼氏の雛人の容姿は美麗で頭もいいし・・・。
なのに、俺には何もない・・・。
絵も上手くないし、歌も上手くないし、気遣いも下手だし、美麗でもないし、頭もよくない・・・。
人間は皆、平等?
そんなの嘘っぱちだ。
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