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「春海。ずっと自主練してるでしょ? それも一人で・・・。だから凄いなって思って」
咲良はそう言うとバスケットボールを俺にパスしてまた『えへへ』と笑った。
咲良のその笑顔が好きだ。
満開の桜を思わせるその柔らかく、温かな笑顔が・・・。
俺は受け取ったバスケットボールを弾ませつつ、首を横に振った。
凄いことなんて何もない。
もっと・・・もっとだ・・・。
俺はまだまだだ・・・。
それにこんなんじゃ全然、駄目だ・・・。
そう。
全然・・・。
「春海が頑張ってること・・・俺も雛人もちゃんと知ってるからね?」
咲良のその言葉に俺はじーんとさせられた。
目頭が熱くなって胸の奥がぎゅーっとしめつけられる。
ああ・・・泣きたい・・・。
大声を出してみっともなく・・・。
「雛人はひねくれてるから春海に酷いことを言ったりしているけれど、あれは・・・」
「咲良。大丈夫だよ」
俺は咲良の言葉を遮った。
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