インバース・パラレル

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「あー、碧ちゃん酷い。こう見えて現代文芸部の一員なんですよー。知らなかったんですか」 「いや、実際、疑わしいだろ。水希は」  得意げに水希が薄い胸を張る。そんな水希を一瞥して、赤司がバカにしたように笑う。 「赤ちゃん、うるさい」 「君は静かに続きを書いてて」  呼び方を改めない水希への意趣返しに効果はなく、邪険に扱われた赤司はすごすごとモニタと向きあう作業に戻った。 「確かに。投稿者名が無い。それに投稿時間もおかしいわね」 「一九七〇年一月一日? このサイトそんな昔からあるんですね。知らなかった」 「それは少し微妙な解釈かしら」 「じゃあ、あれですか。この日に未来へ向けて投稿された、みたいな?」 「そういう見方の方が面白いわね。さらに言うなら、仕組みに寄り添ってみましょうか」  そう言って碧羽が自分のスマホを取り出す。水希に体を寄せると、赤司のスマホの隣に画面を並べる。そこの表示されているのは、一九七〇年一月一日をキーワードにして検索サイトにクエリを投げた結果だ。 「UNIX時間? エポック? よくわかんないけど、何ですか?」     
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