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「まいいや。とりあえず、このリンクはあたしの方にも送っときますね、と。タイトルも作者も空っぽじゃ、検索出来ないですもんねー。勝手に読み進めとくんで、赤ちゃんはちゃんと続き書いてくださいよ」
水希が勝手に赤司のスマホを操作して、自分のアカウントに小説のURLを送信する。自分のスマホからもアクセスできることを確認して、水希がにこやかにスマホを振って見せる。碧羽にしても、水希にしても、人のやる気を削ぐような、否定的なものいいはあまりしない。気遣いだと納得して、赤司が迷惑そうにしながら感謝を口にする。
「わかったよ。とはいえ、今日はおしまいかな。帰ってから、続きを書くことにするよ」
部室をぼんやりと赤く照らしていた西日がビルの陰に隠れたことで、既に陽光は失われており、部屋の中は随分と暗くなっていた。赤司がパソコンを折りたたんで閉じると、部屋の暗さがより深くなる。もともとは倉庫として使われていたこの部室だが、照明をつけられる環境にはあった。その証拠に、扉横には照明のスイッチが、そして天井には蛍光灯のソケットが備え付けられている。
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