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鞄を部屋の隅に無造作に置いて、スマホとパソコンを充電器につなぐ。それから、制服を脱いで押し入れを開ければ、そこには綺麗にたたまれ、段ボール箱の中に収納された衣類が並んでいた。Tシャツとハーフパンツという楽な部屋着を取り出して着替えると、ブレザーとズボンはハンガーにかけて押し入れ上のツッパリ棒につるす。
洗濯物は部屋の入り口脇に寄せられた籠に放り込んだ。どう見ても買い物籠のそれは、ソフトウェア会社に勤める彰浩がまとめ買いしたものをこんなに要らないからと一つ譲りうけたものだ。彰浩は買い出しにエコバッグの代わりに籠を持参する変わり者だ。使い始めの頃は何度か万引きと間違えられている。それが今では買い物籠のお兄さんとして、レジのおばさん方から認知されているのだから馴染んだものだ。そして貰った籠を大事に使っている赤司にとっても、やはり彰浩は買い物籠のお兄さんではあるのだ。
共同スペースに降りて行けば、既に先客の姿があった。入り口から見ると、手前には大きなテレビとそれを三方から囲むように大型のソファが備え付けられている。そんな歓談スペースの先には食卓が並び、そこで入り口――赤司の入って来た扉の方を見た男が笑みを浮かべて手を上げていた。
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