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違いに背を向けて、ノートパソコンの画面に向かい合う二人。その部屋にはそれが全てだった。折りたたみ式の長机が四つ、壁に寄せて備え付けられており、その一つずつを己が領土と主張するように独占している。二人は部屋に明かりを投げるパソコンに、さらに言うなれば、その画面に浮かぶ文字の羅列を見ている。
如月赤司は頬杖をついたり、時折天然パーマのかかった茶色く透ける髪を弄りながら、ノートパソコンのタッチパットをのんびりと撫でていた。赤司がパッドを撫でる手つきに合わせて、モニタの中で文字が流れる。無感情な顔を晒しながら、流れる文章を目で追う。
ブラウザの隣にはテキストエディタが開いており、カーソルが左上の隅で、右へ、下へと流れて行く準備を万端に整えていた。あるいはいつまでたってもスタートがかからない事実に苛立ちを露わにするために点滅を繰り返しているのかもしれない。
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