An artificial flower

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「――ぶない!――いて――」 声が近づいてくる。グランは空を見上げた。 「うわあああ!!ぶつかるーー!!」 その空には、何かの物体。その物体は叫び声を上げながら落下している。そしてそれは、グランのすぐ近くまで迫っていた。 「ちょ、待て待て待て待て!――ぐぁっ!」 当然かわすことはできず、グランは体に強い衝撃を受けてその物体に押し倒された。 「痛ててて……。き、君大丈夫?生きてる?ゴメンね、ボクおっちょこちょいで。ねぇ、怪我ない?」 「ぐぅ…………」 頭がくらくらし、視界がはっきりしない。グランを押し倒しているものが何か言っているようだが返事をする余裕がなかった。 「やばい!意識ないかも!起きて!」 「――おい…………」 痛みをこらえながらゆっくりと言葉を紡ぐ。 「はっ!?返事!もう一息!踏ん張って!」 それはグランの肩を掴み、ゆさゆさと揺らした。 「とりあえず……俺の腹からどいてくれないか」 グランがそう言うとそれは慌てて彼の上から降りた。 グランは頭を振りながら起き上がり、謎の襲撃者の姿を見た。その生物はグランと同じワイバーンで、申し訳なさそうな表情を浮かべてちょこんと座っていた。 グランよりもさらに小さく、声から少女だと思われるのだが、彼女の姿は普通ではなかった。顔の左半分と右胸、右の翼と尾の一部が鋼色の無機質な物体で覆われているのだ。 その物体の正体が何なのかは分からなかったが、生まれ持ったものでは無いことは容易に想像出来た。 「いやぁ、生きててよかったよ!やっと会えた同族を殺しちゃったなんて笑い話にもならないよね!大丈夫?怪我ない?」 「怪我はない、が……」 えらい物騒な事を言う女の子だ、とグランは思った。彼は自分と同じ飛竜と会うことはほとんど無いのだがこれが普通なのだろうか。 「それは良かった!あっ、自己紹介しなきゃね。ボクの名前はアメリア!ここからずぅーっと遠い所から来たんだ!飛竜に会いたいと思って色んなとこ行ってたんだけどすぐ追い出されちゃってね!夢中になって他の飛竜探してたら疲れて落ちちゃったんだ。でも君はいい竜っぽいね。友達になろうよ。ねっ、良いでしょ?」 アメリアと名乗ったその飛竜は頭をぐっと彼に近づけ、早口でまくし立てた。 「あ……あぁ」 その剣幕に押し負け、グランは頷く。アメリアは満面の笑みを浮かべて飛び上がった。
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