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「おう、タクミ。丁度良いところに。ちと話があるんじゃが……」
「おぅ。助けてくれるなら話を聞いてやるぞ!」
「何がそんなに切羽詰まってるのかしらんが、また旅に出ようと思っての」
「旅だって?」
「集魔の法で掠め取られた力を取り戻す作業じゃ、また付き合ってくれると助かる……」
「いいなそれ! すぐ行こう今行こう!」
「お、おい。引っ張るでない!」
オレは女たちから逃げるため。
マリィはまた力を取り戻すための旅。
お互いの目的が噛み合った、まさに理想系の提案だった。
「ちょっとー、どこまで行く気よー!」
「タクミさーん。そっちはコモゾークですよー」
「タクミ様、遠出ですか? 私もお供します!」
「5人も育むとなると一代事業です。今すぐにでも仕込みを、私の中に仕込みをッ!」
逃げる2人を追う4人。
前回の旅出の時と構図が似ていると、なんとなく思った。
こうして逃げているオレは国王で、追いかけてくるのも王妃や重臣やらだ。
肩書きが重苦しいものに変わっても、中身は以前のままだった。
こんな騒がしい日々はこれからも続いて行くのだろう。
これからも、ずっと。
ー完ー
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