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第1話 寝所スタート
アシュレリタは今、平和そのものだ。
機鉱兵の猛攻を凌いでから早一ヶ月。
事件らしい事件は何一つ起きていない。
そのおかげか、町の復興は大いに捗(はかど)っている。
住居として皆が住んでいた掘っ立て小屋は、レンガ作りの家に生まれ変わった。
小石だらけだった道も石畳の歩きやすい通りに作り変えられた。
新しい生産施設も順調に増え、だだっ広(ぴろ)く感じられた壁の内側には空き地がほとんど無くなっている。
復興目覚ましいアシュレリタにて、魔人王たるオレは『叡智(えいち)の王』のスキルを駆使し、各所にて陣頭指揮を取り続ける毎日。
……なんて面倒なことを、オレはしていない。
では何をしているのかと言うと、寝所に籠もり続ける日々だ。
別に休暇という訳ではない。
もちろん怪我や体調不良でもない。
オレが何の仕事もせずにダラりと過ごしている理由はただ1つ。
ーー誰にも文句を言われないから、だ。
領民の善意に甘えて、オレはこうして自堕落(じだらく)な暮らしに甘んじている。
糸の切れた操り人形のように、手足をすっかり投げ出してベッドに横たわる毎日だ。
陽が昇ってから沈むまでの間はそうやって過ごし、陽が沈んだらやはり眠る。
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