最終話  オレたちの未来

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それは年老いても変わることなく、生涯をかけて夫である魔人王だけを愛し続けた。 彼女は第一王女、第一王子を産んだ。 元来素朴な性格であるアイリスによって育てられ、2人の子も多くの人々に愛される人格者となった。 初代アシュレリタ王、タクミ。 叡知の王、武王、慈愛の王。 彼の呼び名は多くあるが、いずれも事実である。 的確な指示で民を導き、危機が訪れた際は矢面に立ち、時には人民を心から気遣った。 ーーおい。 だが、通り名だけで彼を表しきるには不十分だ。 どちらかと言うと不安定な性質で、数々の不完全な部分に……。 ーー無視すんな、聞け! ーーーーーーーー ーーーー 「あら、タクミじゃない。どうかしたの?」 「どうかしたの、じゃねぇよ。なんだその長大なポエムは?」 街中を視察してた時の事だ。 レイラの執務室から、妙に芝居掛かった声が聞こえてきたのだ。 その声は恥ずかしいくらい外にダダ漏れだった。 執務室には既にアイリスとシスティアが居た。 実名であんな空想話を聞かせられたら、当人は気になるよな。 「ちょっと歴史書みたいなの書いてみようかなーって。上手くいけば王立図書館に置いてもらえるかもしれないでしょ?」 「歴史書ってさっきのか? 根も葉もない架空の物語じゃねぇか」     
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