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パッと見美少女(男)の天使、天野は目の前の女性──彼女も服装に違いはあれど天使である──をこれでもかと睨みつけていた。
──今日は一日オフだからゴロゴロしてようと思ったのにぃ!
天野はそんな考えを押し殺して「要件は何?」とクールビューティな外面(本人談)で問いかける。
「僕も暇じゃないんだよね。」
「嘘つけ。どうせゴロゴロするつもりだったんだろ。」
なんだ。彼女には全てお見通しであった。
「うるさいな。ゴロゴロするお仕事があるんだから早く帰してよね。」
「あ?、その事なんだがな。残念ながらもうここにはお前の帰る場所はないんだ。」
今この女は何と言ったか?
突然の発言に天野はキョトンと女性を見た。思考が追いついていないのである。
「はぁ?なんで?なんの冗談?笑えないんだけど……。」
「可哀想だとは思うが冗談じゃないんだ。お前にも分かるように言ってやるよ。追放の命令が下ったんだよ。お前の父さんからな。」
「父さんが?有り得ないんだけど。だって父さん僕のこと大好きじゃん。」
天野はますます面白くない冗談だと目の前の女性を見下す。
事実、天野の父親はこの辺りでは有名な息子バカであったが。
見た目が美少女のように可愛らしく甘え上手な天野を天野の父は宝のように持て囃し甘やかし立派な我が儘に育て上げた。
さらに、天野の父は広い天界をいくつかに分けた内の一つの領域の長……。つまり天野達の住んでいる区域では最も上の立場にいる天使であった。
そんな権力を持った父親の一人息子。父親だけではなく母親も周りの天使達も可愛い可愛いと甘やかし物を買い与え天野の女王様っぷりは加速していった。のだが。
「天野、お前この間人間に手出しちまったろ??」
「うん。それが何ーー、あっ!!!」
「思い出した様だな。天使が人間と性的な関係をもつのは立派な規約違反。流石の領域長も規約には抗えないワケ。」
「そんなぁ?!」
そう。天野は大変な遊び好きであった。それはもう男も女も気持ち良ければ性別も見た目も選ばずあっちもこっちも食い散らかすとんでもない淫乱天使だったのである。
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