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ゴン、という鈍い音が響く。
……またやらかしたな。
俺は内心焦りながらも会計中、客を放り出す訳にも行かない。
「ありがとうございましたー!」
にこやかに一礼し、客がドアを出るのを見送ると、大急ぎでバックヤードに入った。
そこには頭を押さえてうずくまる、バイトの朝見桐子が居た。
「大丈夫か?
……ってか、今度はどーした?」
「店長~、私、ご迷惑かけないように、って頑張って退治しようとしたんですが…」
朝見さん、涙目で一生懸命説明してくれようとしてるんだけど……話し方がとにかくゆっくりで…。
要約すると、ゴキブリが出たので始末しようとしたんだけど、逃げられた上、体勢崩して滑って転んで頭を打って今に至る、って事らしい。
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