四度目の春

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四度目の春

     その日は、朝から最悪なスタートだった。  気がついた時には朝になっていた。寝た気がしない、身体に残ったアルコールが頭をガンガンと叩く。  壁の時計に目をやると既に七時をまわっている。昨日の夜の接待のせいだ。あんなに飲ませるなんて、このご時世にと苦々しく思う。  それでも染み付いた習慣で、会社に間に合うよう淡々と支度を進めていく。いつものようにレジメンタルのネクタイを締めてワックスで髪を整える。  洗面所の鏡に写った疲れきった自分自身に、今日で今週も終わりだ、あと少しだと声をかけてやる。  食欲も無いし時間も無い。冷蔵庫からゼリー飲料を取り出し、とりあえず胃袋に流し込む。他に入っているのは水と缶詰、ひどいものだ。何も入ってない冷蔵庫は食器棚の代わりにもなっている。置き場の定まっていないグラスや割り箸まで冷蔵庫に入っている。  所詮、食欲があったとしても食べるのはコンビニのおにぎりがいいところだ。特に代わり映えする訳でもない。  こんな生活をしているのを知ったら、また母親がぐちぐちと言い出すのは目に見えている。     
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