告白

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 「えっと、上がらせてはくれないのかな。それとも俺がここに来るとまずい?だったら帰るけど。今、他に誰かいるとか……」  「いや、誰もいない。上がって」  前のアパートを引き払って会社に近いところに引っ越した。だからここの住所は奏太は知らないはず。どうやってここへ来たんだ。  「誰に俺の住所を聞いて……」  「あ、瑞樹と同じ部署の大野さん。高校の時の同級生ですと言ったら、だからか!って納得されたけど、どうしてかな?あ、お邪魔します」  「いや」  そういえば、大野はここに二度ほど泊まりに来たことがある。飲み会の後、家に帰るのが面倒だと半分強引にここへ来たのだ。そうか、大野なら知っていると納得した。  部屋に入ってきた奏太を改めてみて、驚いた。まるで別人だ。この前別れた時は、線が細くて、今にも倒れてしまいそうだったのに。  今目の前にいるのは、自信に満ちた顔をした青年。あの時の不安気な空気は消え、強い目で俺を真っ直ぐに見ている。  濃いグレーのスーツに身を包んだ奏太は匂いたつように色っぽい。これなら秘書課の女性が騒ぐのも分かる。自信をつけた奏太は本当にきれいだった。  「ってか、なんで今まで…その……」  俺はその姿に気おされたのか、しどろもどろになってしまった。     
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