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「この四年間、瑞樹に追いつこうと必死に頑張ってきた。堂々と瑞樹の横に並んで立てるように」
そう言った後、奏太はくすっと笑って続けた。
「就職活動の時に偶然、あの会社で瑞樹を見かけて就職を決めた。運命だと思ったよ。どうしても入社したかったから、少しだけ力のある人の推薦状をもらって人事に話をつけてもらったけれど。後は実力だと信じている」
そうか、だからお偉いさんの親戚などと言う噂が流れていたんだと納得した。
「海外生活が長いって、聞いたけど」
「ああ、アメリカの大学で単位を取ったから一年留学はしていたけれど、それだけだよ」
「ようやく同じ会社だとわくわくしていたのに、瑞樹は俺のこと見て逃げるんだもん」
「奏太、お前…、と言うか俺……」
「ん?」
「ごめん。今混乱してて、俺自身、何が言いたいのかも解らない」
「再スタートしたくて頑張ったんだ。そして、ようやくその資格を手に入れた」
「再スタートって、一体何を……」
「俺と瑞樹の関係。で、告白をしに来ました。改めて、瑞樹、俺は瑞樹のことが好きです。付き合ってください」
朝から今日はろくでもない日だと思った。だが、その一日の最後は台風だったようだ。
「ち、ちょっと待って、いきなり……」
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